水引独自の儚いラインをこよなく愛する筆者ですが、水引の進化には肯定的です。こちらの記事では、水引に代わる素材の一つとなり得そうな、新たに登場してきた趣コード(ShuCODE)という紐をフラットな視点でご紹介いたします。
芯が紙のこよりでできている水引とは全く別物と言える、オール化学素材のコードですが、パッと見ただけでは驚くほど水引と瓜二つなのです。では、どんな素材なのか具体的に見てみましょう。
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趣コード(ShuCODE)の特徴
どんな素材でできているか
水引が和紙にヨリをかけたものをノリで固め、塗料を塗ったり、レーヨンの糸やテープ等の装飾が巻かれているのに対し、趣コード(ShuCODE)は、芯の部分がポリエチレン樹脂(釣り糸やテグスの素材と近いです)、巻かれている糸がポリエステルやナイロン、キュプラ等の化学繊維です。
水引も趣コード(ShuCODE)も、基本的に『芯』と『装飾』の2重構造になっているのは同じですね。
水引にはない独自の特性、一番の魅力は?
- 防水性がある
- 柔軟に曲げられ、ほぼ折れない
- 耐久性が高く結び直しができる
なんといっても、水に濡れてもOKというこの耐久性が一番の魅力ではないでしょうか。アクセサリーなども、特別な日用だけではなく、水引ではちょっと不安な普段使い用まで、使用範囲が広げられそうですね。
やや硬めの素材ですが、大方、水引と同じように使うことができると思っていただいて大丈夫かと思います。不向きな使い方については、最後の方で解説します。
これなんて、水槽に入っちゃってます!
見る限り、色落ちも大丈夫そうです。Instagramで趣コードの活用方法を発信されているので、気になる方はのぞいてみては。
販売されるときの形状
水引は、包装し直された手作りキット等を除き、基本的には約90cmにカットされたまっすぐな状態で保管されますが、趣コード(ShuCODE)は、下記のリンク画像のようにロール状に巻かれ長いものですと100m巻まであります。
楽天では現時点1ショップのみ、ラメなしとラメ入りの2種類が10m巻きの状態で販売されています。5400円以上送料無料なので5色まとめて買うと送料無料です♪
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コンパクトな形状で折れたりもしないので、保管や持ち運びは断然水引より楽そうです。
色の種類
全111色。水引よりはまだまだ少ないですが、独自の蓄光タイプがあり面白いです。今後ラインナップが増えていく可能性もあります。
- ラメなし41色(水引の絹巻き/花水引と似てます)
- ラメ入り55色
- 杢糸13色(モクイトと言い、何色か混ざった糸のこと)
- 蓄光1色(暗闇で光る糸)
- 蓄光ラメ入り1色(暗闇で光る糸のラメ入り)
現時点、全色揃って買えるのは趣コード(ShuCODE)さんのオンラインショップのみのようです。気軽に試せる少量アソートセットも用意してくれています。ただ送料無料は難しいかもでした。
https://www.shucode.com/shopping/
使い心地
ロール状に巻かれているので、引き出すとクルンクルンに癖がついており、本数が増えるほどまとまりずらく、先端もまっすぐでないので、結びの作業は水引と比べたらやりにくい点はあります。
しかし、一度しっかりと結んでしまうと、これが不思議なのですが…まとまりのなかったコードがピタッと揃うのです。そう、職人さんが結んだような”折れ”がなく全ての水引が美しく揃って並んでいる結びのように。
上の画像のように、一旦結んでしまえば見分けがつきません。右側が趣コード (ShuCODE)です。若干細めですね。
通常の水引では綺麗なラインがなかなか出せないという方は、おそらく趣コード(ShuCODE)では万人が綺麗に仕上げやすいので、もしかしたら、むしろ「やりやすい」とすら感じるかもしれません。水引の扱いに慣れている方ほど、趣コード(ShuCODE)を結ぶ際の扱いにくさだけが際立って「やりにくい」と感じるかもしれないな、という印象を持ちました。
使用用途は?
適した用途
使ってみた感じでは、本数が増える程まとまりが悪く扱いにくくなるので、なるべく少ない本数で作れる小さめの結びに適していると考えられます。ただ、結ぶまでのやりにくさはありますが、本数を増やしても綺麗に仕上げることはもちろんできます。
また、小さな結びの集合体(連続あわじ結び等)からなるオブジェクトでしたら、大きなものも制作できそうです。長さが使えるので大きなものが作りやすいです。
防水性から考えると、アクセサリーやディスプレイなど耐久性を要するものに最適です。また、水中でも使用可能とのことなので、ハーバリウムやフラワーアレンジの剣山・オアシスの代用としても使われているようです。
一押しがこちら!
ここからはちょっと個人的にですが、1本でひたすら結んでいく”玉結び”が特にオススメなのでご紹介しておきます。
玉結びは、一番細かい結びだと言っても過言ではなく、本当に小さな隙間に何度も水引の先端を通していくので、結んでいる最中から水引が傷みやすいのですが、趣コード(ShuCODE)は芯が樹脂のため最後まで傷む事もなく、均等に球体の張りが出しやすかったです。
水引は芯が紙縒り(こより)なので捻じれの方向があり、玉結びをどう作っても何となく表裏ができてしまうのはこの捻じれの方向が影響しているのではないかと推測しているのですが、樹脂の場合は捻じれがなく、均等に作れる感じがします。
また複数本ではやりにくさを感じますが、玉結びのように1本で結ぶ際にはやりにくさも感じません。防水性・耐久性を要するアクセサリー用に玉結びを作るなら、尚更最適な素材です。
少し前にnoteで限定公開した、いくつでも同じ大きさ・クオリティで作れる『パーフェクト玉結び』の技法と、この趣コード( ShuCODE)の組み合わせは、現時点で、美しい玉結びを作るにあたり最強の組み合わせだと手前味噌ながら思っております。
玉結びは、水引より趣コード(ShuCODE)だな…と正直思っています。(画像は水引で作った玉結びです)
不向きな用途
真っ直ぐや、かなり滑らかなゆるいカーブを出したい場合には向きません。これはロール状に巻かれてしまっている為です。(もしかしたら、巻かれる前の出来立てホヤホヤの状態ならピンとしているのかもわかりませんが)ある程度、ついてしまった跡を伸ばすことはできますが、真新しい水引のように『直線的』と言えるようなラインは、自律的に出すことは難しいです。
ただ、コードの両端をある程度のテンションで引っ張った状態で固定できる形状であれば、直線を出すことも可能です。この場合は、引っ張り続ける耐久性の面や長さが使える点からも、趣コード(ShuCODE)の方が良さそうです。
まとめ
筆者の屋号『micono Fiber art』に”水引”という名前を入れず”Fiber”としているのは、水引の起源から進化していく先までを表しているからなのですが、この度ついに新しい素材が出てきたか…と、時代の移り変わりをしみじみ感じてしまいました。
一昔前は、結納や金封など何かを贈る時に”一度切り”という使われ方を主にしていた水引ですが、手芸やハンドメイド、ディスプレイなどの素材として水引が広まりだしたことで、耐久性に特化した趣コードが登場したのは、自然な流れだなと思います。興味を持たれた方は、ぜひ、まだまだこれからの素材だと思いますので、一足先に試してみてはいかがでしょうか。
水引素材の製造技術やそれを扱える職人さんの技も受け継いでいきたいものですし、その中で、こういった新素材も柔軟に取り入れうまく使い分けていくのが、まさに『micono Fiber art』のミッションである『水引の進化・伝承』だなと思い、今回ご紹介をさせていただきました。
貴方の水引創作に役立ちましたら幸いです。最後までお読みくださりありがとうございました。