水引で玉結び(あわじ玉)がうまくできない理由と上達のコツ

初心者向けの手芸本には必ずと言っていいほど紹介されている、玉結び(あわじ玉)。ネットでも、動画やブログなどでたくさん作り方が紹介され、アクセサリーなどに利用している方も多い、人気の結びです。しかしこれが、なかなか難しい…実際に「自分でやってもうまくできない」「どうやったら綺麗に作れるのですか」という相談をよく受けます。
こちらの記事では、玉結びの大きな誤解コツ、お手本にしたい参考作品などを解説いたします。

うまくできない理由4選

玉結びはそもそも難易度が高い

はい。まず、一番の大きな誤解。玉結びって、簡単じゃないのです。水引1本で作れるシンプルさからか、初心者用に作り方が紹介されることが多いのですが、私も久々に作ると一回ではまず綺麗に決まらないくらい、ちゃんと作ろうとしたらとても奥が深い、難易度の高い結びなのです。

ガタガタの玉結び(あわじ玉)
作ってるうち三重目、四重目になってくると、水引が滑らかに揃わず重なってしまう…
玉結び、キツくて穴に入らない
あとひとつ通したら完成なのに!これ以上キツキツで入らない…
玉結びがゆるくて穴がふさがらない
逆にぽっかりと穴が開いちゃった、などなど…

初めて水引に触れる方誰もがすぐに見本みたいに作れるような簡単な結びではない、ということをまず知っておいてもらうと、心構えとして良いと思います。そもそも、見本自体が上手な見本になってない、ということも多いです。


アクセサリーという用途はより難易度が上がる

玉結びのピアス

玉結びは、アクセサリー用に作る方が多いのではないでしょうか。ちょこんと一つピアスやイヤリング等にしたり、金具などでいくつも繋げてペンダントのチャームにしたり、ブレスレットや髪飾りにしたり、何かと使えますよね。
アクセサリーの見栄えとして重要なことの一つが『大きさが揃っている』ということ(デザインにもよりますが)。特にペアで使う耳飾りなどは、シンプルなものほど、大きさが揃っていなかったら一気にあ・・てなりますよね。

この玉結びの用途による『大きさを揃える』必要性も加わり、さらに難易度が増します。

玉結びの大きさ色々

大きさの揃え方というのもやり方があって、やみくもにいくつ作っても揃いません。(大きさの揃え方は『パーフェクト玉結び』の中で解説しています)


玉結びに適した水引でないものを使っている

ビギナーさんの多くは、まだ水引を種類豊富に持っていないことが多いです。選択肢が極端に少ない中で、何となく選んだ水引がたまたま玉結びに適していない種類の為にやりにくく、余計にうまくできなくなっているケースがあります。

人それぞれな部分もありますが、一般的に作りやすい水引は、きついアール(曲線)でも滑らかなラインが出せて、かつ張りのある硬めのものです。

水引のアール(曲線)の違い
アール(曲線)の違い

では、きついアール(曲線)でも
・綺麗なラインがでるタイプ
・でないタイプ
・おすすめのタイプ

をそれぞれご紹介します。

きついアール(曲線)でも綺麗なラインの出るタイプ

滑らかな曲線が出しやすいのは、極細のレーヨンの糸が巻かれた【絹巻き水引・花水引】と呼ばれるような種類の水引です。ただ、この種類でも、色や製造業者、作られた時期などにより柔らかい水引のことがあり、そういった物だと結ぶ際、穴に通していくたびに先端がすぐグニュグニュに痛み、張りも出にくくやりにくいです。

結んでいるうちに傷んだ水引の先
最後の方になるにつれ、先端が痛みやすい
ワンポイント

先端が傷んでしまったら、グニュグニュになった部分だけカットし(長さが足りなくならない範囲で)、先端が常に新しい硬い状態で使うと結びやすいですよ↓

水引の傷んだ部分をカット
傷んだ部分をハサミでカット

なぜ糸巻きの水引は、どこまでもきついアール(曲線)が綺麗に出せるかというと、巻かれている糸が極細繊維だからです。次に紹介する『きついアール(曲線)だと綺麗なラインの出ないタイプ』の構造を見ると、その意味がよくわかると思います↓

きついアール(曲線)だと綺麗なラインの出ないタイプ

これがその、ラインの出しにくい水引の特徴です。

テープが巻かれた水引の構造
画像はわかりやすく、少しテープが浮いて見えるようにしています

金や銀などのキラっとしたものやオーロラテープが巻かれているだけの【特光水引、パテントカラー水引、パール水引】等は、巻かれているものが帯状なので、きつく曲げた時に構造上カクカクになりやすいのです。

テープが巻かれた水引で作った玉結びはカクカク
水引がカクカクになった玉結びの例

また、何も巻かれていない塗料だけの【色水引】等も、玉結びのきついアールには耐えられないことがあり、表面の塗装が裂けてしまって、例えば赤色だと、芯の白い色が裂け目からチラチラと見えてしまいます。(塗装がかなり分厚く玉結びにも耐えられる丈夫なものも中にはあります)

色水引で玉結びを作ると表面が裂ける
そもそも色水引は、柔らかめなので結びにくく、玉結び向きではないです

最も適したおすすめの3タイプ

最近の水引は年々固めで丈夫、張り、コシがあるものになってきている傾向ではあります。一概には言えませんが、大方、次のようなものを選ぶと無難です。

間違いないのは、最初にご紹介した(なるべく固めの)糸巻きタイプ

糸巻きタイプの水引
例)絹水引、絹巻水引、花水引など

②ラインが出しにくいテープが巻かれたものの中でも、さらにその上に糸等が巻かれた多重構造タイプなら、張りもあり綺麗に見えやすいです↓

テープが巻かれた上に糸なども巻かれた多重構造の水引
例)ファンタジー水引、都水引、つづれ水引、曙水引など

テープ自体が細めだったり、隙間をあけて巻かれていたりするタイプ

細いテープか、または隙間を開けて巻かれた水引
例)錦水引、プラチナ水引、羽衣水引、雅水引、ビーチ水引、ブリエ水引など

以上のような水引だと、玉結びをはじめ、アール(曲線)のきついものを作る際にラインが綺麗に作りやすいので、参考にしてみてください。

水引見本帳を使って様々な水引の特徴をご紹介している動画再生リストがあるので、参考にご覧ください(7回に分けてほぼ大半の水引を網羅しご紹介)


練習が足りない

あとは、これを言ったらおしまい、練習不足…笑。
例えば、水引の内職さんなどは、1日に水引モチーフを100個近く作ったりします。

水引上達のコツはたくさん作ること

それに対し「うまくいかない…」と思った時点でどれくらい作りましたか?単純に数をこなす事だけでも上達するので、無心になってやってみる時間というのも大切です。


上達のコツ5選

綺麗に作れる魔法の技法はないと知る

ズバリ、何か綺麗にできる特別なやり方があってそれさえ知ればできるようになるのではなく、なかなかに泥臭い作業がそもそも必要なのです。元々の器用さもあるかもしれませんが、数を作ってる作家さんや、代々家業として受け継がれている産地の作品は、やはり綺麗だなと感じます。

やっているうちに自分なりのうまくいくコツを見つけられたりもするので、そうなったらしめたもので楽しくなってくると思いますよ!たまたま自分が参考にした本やネットで出回っている作り方が絶対の正解というわけではありませんので、自分の目で結んでいる手元を見て、やりながら自分の頭で考えることも大切です。


同じ水引で練習する

意外と大事なことがこれ。
水引ってそもそも細いのでどれも同じに見えますが、微妙に太さ(直径)が違います。シンプルな作りのものと多重に巻かれて装飾されたものでは、やはり厚みが変わります。
1本で見ると大した差ではなくても、何本も重なるとその差が現れやすくなり、玉結びは基本1本の水引で結んでいきますが、最終的に3重、4重、と重なっていくと、同じ大きさで作ったつもりでも水引が違えば仕上がりも微妙に違ってきます。

水引の太さによる玉結びの仕上がりの違い
左の茶色ではピッタリできたのに、違う水引で同じように4重で作ったら、右の方は少しゆるくなった例。

よって、毎回違う水引で練習していると、なかなかピッタリと決まる時の感覚が掴みにくいのです。何より、玉結びは0.1ミリ単位のズレが仕上がりに影響してきますし、太さの他にも水引の種類ごとの硬さや張りなどの質も関係します。
まずは同じ種類の水引で練習し、うまくいく感覚を掴むことが近道です。

色々な種類の水引で結んでみること自体は経験値としては良いので、あれこれ試してみた後に、自分が一番やりやすい種類を見つけ、次はひたすらその種類の水引で練習し一つ極めてみる、という順番でやってみるのが良いと思います。


新しい水引で結ぶ

水引を結ぶ時の理想としては、“やり直し”をしないのが基本です。

紙なので、何度も結んだり解いたりしているとヨレヨレになってきます。慣れてくれば多少はやり直しても大丈夫な加減がわかってきますが、玉結びの場合は、小さくキツく結んでいくので水引へのダメージが大きいです。途中でぐちゃぐちゃになってきてしまったら、いくらほどいたりしてやり直しても、もうそれ以上綺麗にはならないと思った方がいいです。

結んだ後にほどいた水引はぐにょぐにょ
ほどいてみた水引、ぐにょぐにょです。

ほどくくらいなら、どこからうまくいかなくなってしまったのか振り返り、新しい水引で最初からやりましょう。完成のイメージを思い描きながら、丁寧に丁寧に、思っている以上に丁寧に、一つ通すごとに全体を確認し、また通し…の積み重ねで美しい玉結びは生まれます。

よく扱(しご)く

きついアール(曲線)をだしたい時ほど、よく扱(しご)くことが必要です。硬い目打ちなどを使いしっかりと一点に力を入れて水引をぐっと曲げながら目打ちを移動させ、結ぶ部分を扱(しご)いて柔らかくします。(折り紙など細く切った紙を、手で扱(しご)くとクルンと丸まるのと同じ原理です)

水引を目打ちでよく扱く(しごく)

扱(しご)き方が足りないと綺麗に曲線がでず、無理に曲げようとすると折れてしまいます。折り紙の折り目が消えないように、一度折れるともう元に戻らないので、玉結びの表面もガタガタになります。

最初に一度全体的に扱(しご)き、結びながらも、都度、指でいいので結ぶ方向に逆らわぬよう再度扱(しご)きながら、水引を操るように結んでいきます。

ワンポイント

扱(しご)く時は、先端を5cmほど残しておくと、小さな穴にも通しやすく、スムーズに結べます。ちょうど、縫い物をする時の針のように、先端は硬くしておいた方が通しやすいのです。

水引の先端はしごかないで残す

美しい作品に触れ、目を養う

そもそも『どのくらいのクオリティを目指すのか』というゴール、目標とする作品の差は大きいです。今はプロ・アマごっちゃになって、というか線引きがそもそも難しく、日々様々な作品が氾濫しているので、参考とする作品の差が影響しているとも考えられます。

玉結びの悪い見本
悪い見本としての装飾をする前の画像

例えばもし、はじめて見る玉結びが、わたし作の(笑)記事の最初でご紹介したこの悪い見本の写真だったらどうでしょう?コレしか見たことのない人は、もしかしたらコレでいいんだと思ってしまうかもしれません。

本やネットで紹介されてたり有名デパートで売ってる玉結びより、玉結びばっかり作ってる無名の作家さんの方が綺麗だったり、ということだって普通にあります。表面上の常識に惑わされず、これは美しい、と自分の目で見て感じてそう思えるものを見つけ、参考にしてみましょう。

ちなみに、私の今のところの玉結びナンバーワンは金沢にある津田水引さん。
綺麗な玉結びのお手本
出典:津田水引折型 オンラインショップ より

JTのCMでも津田水引さんの玉結びの髪飾りが登場していましたが、5重に結ばれているにも関わらず、とても揃っていて綺麗だなと思いました。オンラインショップでは、玉結びをはじめ、各種作品がご覧いただけます。

まとめ

もし、打ちのめされてしまった方がいらっしゃったらごめんなさい。
最近あまりに『簡単』『手軽に』『可愛い』などと安易な紹介をされている感じを受け、それを真に受けて、なんとなく作ってみて、なんとなくうまくいかないけどまあなんか「これでいいかー」「ちょっとなんか可愛いー」みたいな、中途半端に終ってしまってはいないでしょうか。
これでは水引の本当の魅力、奥深さが伝わらず、こんなもんかと思われてしまうのがとても残念なので、オンラインで伝えられるだけのことを詰め込み、思いを込めて記事にしました。
具体的な結び方には今回触れていませんが、すでに作り方は知っているけどうまくいかない、という方向けに参考となることをお伝えさせていただきました。少しでも練習に役立てていただけましたら幸いです。


追記:2019.8 時点での最良の方法【パーフェクト玉結び】をnoteで限定公開しました。さらなるクオリティを目指したい方は下記のボタンからどうぞ。

最後までお読みくださりありがとうございました。