水引細工の基本【あわじ結び(あわび結び)】習得までの道筋

水引細工のあらゆる結びの基本となる、あわじ結び(あわび結び)。水引を扱うにあたってまずはじめにマスターしたい代表的な結びで、これをマスターできれば、結びの半分は習得できたと言っても過言ではない程に要となる結びです。

ただしこの『できるようになる』と言うのは、結び方を覚えると言うことではなく、なぜその手順なのかを理解し、目的通りの仕上がりにするために、過不足なく自分で手の運びをコントロールできるようになる、と言うことです。

決して一朝一夕にできることではありませんが、一度身につけられれば、他の多くの結びに応用できる普遍的な要素があわじ結び一つにぎっしりと詰まっているので、これだけでも水引の基本がだいぶ理解できるようになります。

いろんな結びに手を出してみるのもいいですが、この基本がおろそかになっていたら、どこかで限界がきますし、変な癖をつけてしまうと後々修正するのに苦労します。ですので、最初の段階で徹底的に体に染み込ませておくことが実は近道です。

あわじ結びの結び方だけ手っ取り早く知りたい方は目次の2をどうぞ。

あわじ結び伝承の現状と問題点

現状

どういった伝承の仕方がいいのか、まずは様々な媒体をリサーチし改善点を見つけました。

  • 動画の場合、音声の解説が少ない(手元と字幕両方見なければならず頭に入りにくい、言葉が足りない)
  • 動画速度が遅すぎ、実際の作るスピード・感覚・動作の流れがわからない
  • 水引のどこを起点に結び始めるのかわからない
  • 図解だとどこをどの指で持つのか、手の運びがわからない
  • あわじ結びだけで何パターンもありどれを身につけたらいいのか混乱

問題点

一般的に出回っている情報で、あまり参考にしない方がいいと思う点もまとめました。

  • 扱き方が足りない(水引が折れてる)
  • 手でいじくりすぎ、 余計な手数が多い
  • やみくもに扱きすぎ
  • 仕上がりに近い大きさで結べていない(無駄に水引が痛む)
  • 簡略化されすぎた図解

そもそも伝統技術をもった職人さんには滅多にお目にかかれる機会がなく、直伝の1次情報というのは本当に少ない。ただ、仮に学べる機会があったとしても、あまりに熟練すぎる為にいきなりビギナーさんが参考にするには理解が追いつかない場合もあります。一方で2次、3次の情報が氾濫している極端な現状なので、その間をとって、ビギナーさんにも理解しやすいところまで噛み砕いて、かつ基本を外さずに、あわじ結びを丁寧に解説していきたいと思います。

基本的にはやはり一番情報量の多い動画を使います。痒いところに手が届く細やかな解説ありバージョンと、手の運び・流れ・加減を感じられる一連の動作を『見て』もらうことにのみフォーカスした動画もご用意しました。

では、順を追って解説していきます。

どのパターンのあわじ結びを習得すべき?

全ての結びの基本となる結びですから、たくさんあるパターンの中で最初にどれを習得するのがいいのか、と言うのが気になるところだと思います。私は長らく最初に教わったパターンを疑いもなく続けていましたが、今は視野を広げ2パターンを使い分けています。
6パターン以上ある中から今一番世に広まっていて最も覚えやすいと思われるパターンをビギナーさんにはお教えしています。(実際の講座をみてもらってもわかるのでこの動画は飛ばしてもOKです)

参考にする解説ごとにパターンが違ったりしますが、基本はまずこのパターンを習得すれば大丈夫ということを知っておいてください。

水引素材の扱い方を理解する

水引は紐でもなく針金でもない、普段はまず触れることのほとんどない素材ですし、扱い方が特殊です。結び方がわかっていても、この「扱(しご)く」という動作を理解できていないと、美しく結ぶことができません。多くの方はここでつまづいていると思われるので、上達を目指す方はぜひ目を通していただきたい記事です。

あわじ結び以前の基礎固め

あわじ結びが木の幹だとすると、その土台となる基礎固めがまず最初に大事になる

あわじ結びが木の幹だとすると、それを支える土台の基礎固めがまず最初に大事になってきます。その土台部分に当たるのが一つ前にお伝えした『水引の扱い方』を理解することと、もう一つが『無料オンライン水引結び講座<基礎編>1』です。
講座全体ではあわじ結びを通りこしなのはな結び梅結びまで解説していますが、水引を扱う上で最も基礎的なことを<基礎編>1で出来るだけ丁寧に解説しているので、ぜひ簡単な結びと侮らず取り組んでみてください。

あわじ結びとそのバリエーション

水引の扱い方の基礎がわかってきたら、いよいよ基本のあわじ結びの技術を育てていきましょう。オンライン水引結び講座<基礎編>2で、あわじ結びの色々なバリエーションを解説していきます。

結びの所作を磨く

あわじ結びもだいぶ慣れてきたでしょうか。いくつも数をこなしてくると、自然と無駄な動きが減ってきて、手つきも様になってくると思います。頭で考えるよりとにかく手を動かすことが上達のコツです。理想とするあわじ結びの基本動作を解説なしノーカットで記録したものがこちらです。

『真っ直ぐな部分を残す』『左右の水引の長さを揃える』ところまではなかなか最初は難しいと思いますが、ここまでできるということをまずは知っておいて欲しいです。それだけで意識は変わるので、後々きっと差が出てきます。

あわじ結びの表と裏

あわじ結びは、実は表と裏の2つの結び方があり、表の方が圧倒的に出番は多いですが、裏の結び方もできるとより応用がききますし、難しい結びも理解しやすくなります。オンライン水引結び講座<基礎編>では触れていないですが、裏も一応ご紹介しておきます。表の結び方を全部逆にすると裏になるんです。

あわじ結びの集合体、水引毬飾り

ただあわじ結びを練習するのもいいですが、単体のあわじ結びばかりが溜まってしまって使い道もないと勿体無いし、どうせなら何か飾ったり有効活用できるようなものだったらと思いませんか?そんな時にオススメなのが、あわじ結び表・裏の集積で形作る水引毬飾りです。あわじ結びはもちろん、水引での総合的な造形力を養うとてもいい練習になります。この水引毬飾りが安定して作れると、不思議と他のものを作っても調ってくるのです。コミュニティでは世界十数カ国の水引仲間と共に学び続けられます。もしご興味がありましたら、詳細のご案内もぜひご覧ください。

あなたの水引創作のお役に立ちましたら幸いです、最後までお読みくださりありがとうございます。