水引は、しごいたり結んだりする時、指と水引または水引どうしが擦れて「スッスッ」とか「シューッ」などとかすかな音がでるのですが、意識したことってありますでしょうか?
私miconoも以前より、水引を作る時のこの音が心地良いと常々感じていましたが、水引ライナーLab(オンライン水引コミュニティ)で交流を始めてから、他にもこの音が好きという方が結構いらっしゃるらしいことがわかりました。
実はこれ、着物とかの布が擦れたり、帯締めとかをキュッっとしめる音と近くて、この場合は『衣擦れ』という言葉がちゃんとあるんです。これも、水引ライナーLabメンバーさんから教えてもらいました。
水引も絹巻きと呼ばれる、表面が繊維で包まれている種類があったりして(その種類でなくとも音は出ますが)とても共通点を感じるので、『衣擦れ』という言葉、これからは水引においても使わせていただきます♪
で、この衣擦れ音って、出る時と出にくい時があるんです。
どういう時に出にくいかというと、まず小さいものを作る時です。水引どうしが擦れ合う面積が少ないのでこれは当たり前ですね。
あとは、ツルツルした水引を使用した時。やはり先にも書いた絹巻き水引系や表面がザラザラしたようなラメ系の方が音は出やすいです。
そしてこれが特に奥深いなあと思うのですが、真っ直ぐでない傷んだ水引なんかで、迷いながらグチャグチャといじくりまわして作ってると、出ない。
何度も何度も作るうちに無駄な動きが削ぎ落とされ、真っ直ぐなさらの水引を最小限でさばけるように所作がととのってくると、力の強弱も自然とつくようになって、シュッ‥、シュッ‥っと気持ちの良い音が鳴りはじめる…
水引って書道とも似ていて、書家の流れるような筆のイメージに近いです。
まだ確信まではいってないですが、なんとなく…この『音』というのも、作る時の一つの指標になるのではないかと考えるようになりました。『美しい水引は、作るときの音も美しい』ような気がやはりするので、そこも意識して精進していきたいと思っております。
まだまだな自分の限界を知らしめるようでお恥ずかしいですが、この衣擦れ音を今ある動画の中で感じられるのが、こちらの所作を伝える水引結びシリーズです。
水引って、作る過程を図解や解説で分断してしまうと、結び方の表面的な理屈はわかっても手の運びや流れが伝わりにくい。なので最近はyoutubeっぽい解説動画はやめ(笑)、ひたすら所作が伝わるような流れを発信しています。
昔の職人見習いがしていたように師の手元を『見て盗む』、自分の手と頭も使ってなんとかしてそこに近づく『数稽古』は、古臭いと言われるかもしれませんが、水引においてはやはり大事なステップだと考えます。『見て盗む』が『観て盗む』になるとさらに上を目指せるでしょう。
今後もあらゆる結びに挑戦していく予定ですので、ぜひ動画のアイコンからチャンネル登録をしておいていただけると嬉しいです。
最後までお読みくださりありがとうございます。